九月十七日から十九日までの日記  いただきます ごちそうさま

九月十日にカニ籠で捕獲した大きな大きな鼈(すっぽん)ですが
実家から借りてきた大きな漬物樽を生簀にし、泥抜きをしておりました。

そして九月十七日、いよいよそのすっぽんを食べる事に為りました。
とても大きなすっぽんでしたので友人たちを招き、皆で食べる事に。
いや、実は一人ですっぽんを捌くのがちょっと恐くて…(苦笑)
生きた四足の動物を絞めるのは生まれて初めての経験です。
しかも此れだけ大きな、そしてちょっと危険でもある動物と対峙するのです。
緊張しない訳がありません。

二人の友人を工房に招き、一人は撮影記録係、もう一人は調理補佐と言う事で準備。

まずは酒をあおり景気づけ、正直素面ではやってられません(苦笑)

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すっぽんを持ち上げます…とても重い(汗)
純粋な重さだけでなく、命の重ささえ感じる様な気がします。
顔では笑っていますが心臓バクバクで今にも泣き出しそう、逃げ出したい!!!

インターネットで調べたすっぽんのさばき方をおさらいし、いよいよ出刃包丁を握り締めます。

すっぽんをひっくり返し、起き上がろうと首を伸ばした所を掴みます。
何度か失敗、その度に緊張の度合いが少し薄れてゆきます。

すっぽんが首を伸ばす。

左手で渾身の力を込めてすっぽんの首を掴む!

今だっ!!!


喉元に出刃包丁を一閃、続いて頚動脈辺りをもう一閃!

しかし此処ですっぽんが物凄い力で抵抗、私は思わず掴んでいた首を話してしまいました。


すっぽんはそのまま首を引っ込めたまま動きません。


…しくじりました。
苦しまない様に一気に命を絶つつもりが半矢の状態ですっぽんを必要以上に苦しめる羽目に!

此処からは苦悩の連続でした。
もう、どうにもこうにもすっぽんが首を出してくれません、当然でしょうが。
時折暴れるとその度に引っ込めた首からだらりだらりと血が溢れてきます。

この光景はもうトラウマに為るほどのものでした。

こうなってはもう、失血による絶命を待つしかありません。
しかしこのままでは血抜きが出来ずに肉が美味しくなくなってしまうのではないだろうか?
この期に及んでもまだ食の事が頭をよぎる自分の卑しさにも嫌気がしましたが
折角招待した友人たちに美味しいすっぽんを食べさせたいと言う気持ちもありました。

其処で私は更なる残酷行為を重ねる事に。

すっぽんがまだ生きているのに解体作業を進めたのであります。
手順に従いまずは縁側部分に包丁を入れ、皮を切り裂き甲羅を外します。
無論、包丁を入れるたびにすっぽんは痛がり、逃げ出そうとしますがやはり首を出しません。

早く首を刎ねて楽にしてやりたいのですが!!!(涙)

甲羅を剥ぎ取る頃には流石にすっぽんも力尽きたようです。
首を引き出し、ようやく止めを刺してやる事が出来ました…

さあ、ぐずぐずしていられません。
まずは内臓の解体です、此方は鮮度が命!

まずは肝臓を取り出し刺身に仕立てます。

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新鮮な肝は刺身で食べられます。
流水で血をよく流し、薄くスライスしてにんにく塩胡麻油と生姜醤油で頂きました。

甘くてコクのある肝の味… 久しく忘れていた牛レバー刺身と同じ味わいですね。
友人達と主にビールを呑み、暫しすっぽんの肝に舌鼓を打ちました。

その肝を食べつつも解体作業は続けます。
内臓を処理し、四肢を切り離します。

この時に驚いたのが切断をする時にまだ四肢が動いていた事!
すっぽんの生命力の凄まじさに驚きを禁じえませんでした。
だからこそ精力薬などにも使われるのでありましょうなぁ。

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すっかり解体が終わり、肉の塊となったすっぽん。
ちなみにオスでありました。

まずは良く血を洗い流し軽く煮込み霜降りにします。
そして甲羅や手足の薄皮をむいて下ごしらえが完了、ようやくすっぽん鍋の調理開始です。

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とにかく大きなすっぽんでしたので普通の土鍋では入りきれません!
ウチで一番大きな寸胴で調理する事にしました。

湯を沸かしてからすっぽん肉を全て入れ、生姜、ネギの青い所、日本酒、コンブ、干ししいたけなどを入れ二時間ほど煮込みました。

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最後に塩のみで調味。
ちょっと味見してその美味なる味わいに身震いする。
さっきまでのトラウマが吹き飛びそうな美味しさです!
見目が美しいとは言えないあのすっぽんからこんな上品で旨みの強いスープが取れるとは…


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肉とスープを土鍋に分け、そこに焼いたネギを加えて軽く煮込んですっぽん鍋の完成です!
余計な野菜は入れずにネギだけで食べるのは生まれて初めてすっぽんを食べたお店のスタイル。
今回は特に肉が山の様にあるのでこのような食べ方がもっとも相応しいでしょう。

あとから駆けつけた友人も加わり総勢四人ですっぽん鍋を存分に賞味致しました!
もちろん、〆の雑炊も極めて美味だった事を付け加えておきます。

連休二日目には実家の両親にもお裾分け。
喜んでもらえました!



今回、初めてすっぽんを自分で調理した訳ですがいろいろな事が分りましたね。
あまりにも大きな肉塊だったので長時間煮込んでしまいましたが
すっぽんの肉は柔らかく繊細な肉質なので必要以上に煮込むとあっと言う間に骨からはずれ
バラバラに崩れてしまいました。

すっぽん肉はサッと火を通して食べるのが正解のようです。
それほど煮込まなくてもスープは実に濃厚で美味しかったですし。

だから連休最終日には寸胴の中のすっぽん汁は肉と汁が渾然一体と化しておりまして

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しかしそれゆえ肉片たっぷりの超贅沢すっぽん雑炊を味わう事が出来ました!


結局の所あの大きな大きなすっぽんを私、友人三人、そして私の両親六人で食べつくしてしまいました。
身も汁も実に実に美味しく本当に満足でした!



今回のことは本当に良い経験になったと思います。
自分の手で命を奪うと言う行為、これまで魚や貝、カニ等では行ってきた事ですが
いや、広く言えば植物などもそうだったのでありましょう、命を頂戴し、自分の身体に取り入れると言う当たり前に感じていた事が今回強く強く実感する事が出来ました。
他を犠牲にして成り立っている私の命なのですからもっともっと食材たちに感謝を畏敬の念を持たなければ!

食べ物を粗末にすると言う事は命を粗末にしている事と同義だったのですね。
此れまで以上に食べ物に感謝し、「頂きます」「ご馳走様」を忘れずにいたいと思います。


すっぽんくん、私の腕が拙いばかりに苦しい思いをさせて申し訳なく。
でもあなたのお陰で私も友人も両親も皆幸せになれました!

有り難う、いただきます、そしてごちそうさまでした。







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[ 2016/09/21 ] 自炊 | TB(-) | CM(0)

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